イギリスのチーズ転がし祭りは、宮川大輔が参加したことで日本でも注目されています。
世界には他国の人が見たら奇妙に感じる様々なお祭りがありますが、チーズ転がし祭りもそのひとつです。
この祭りは、イギリスのグロスターにあるクーパーズヒルで春に開催されます。
初めは地元の人々だけで楽しんでいたのですが
海外からも注目を集めるようになり今では世界中から観光客が訪れています。
チーズ転がし祭りは、転がされたチーズを奪い合うという過激なレースです。
丘の急斜面からチーズが転がされると、挑戦者達がチーズを追いかけて駆け下ります。
挑戦者の中には途中で滑って転んだり、泥にまみれてケガをしたりする人も出ます。
200メートルもある丘の斜面を転がるチーズは最高時速112キロにもなるので
チーズを捕まえるのは至難の業です。大人だけでなく子供のレースもあります。
チーズ転がし祭りで使われているチーズは、ダブルグロスターチーズと呼ばれるものです。
このチーズは、伝統的なセミハードタイプのチーズでグロスター牛のミルクから作られます。
種類は2種類あり、無脂肪乳に全乳を混ぜて作るのが
シングルグロスターで、全乳のみで作られるのがダブルグロスターです。
ダブルグロスターチーズは、シングルグロスターチーズよりも熟成が長いので風味が良いです。
祭りが開催されるクーパーズヒルは、映画に登場することも多いグロスター大聖堂がある場所です。
グロスター大聖堂はステンドグラスが美しく、観光客にも人気があります。
祭りを楽しんだ後は歴史散策もできます。
チーズ転がし祭りは、2007年にタレントの宮川大輔が参加して2位になっています。
彼に触発されて参加した日本人が2013年に第4レースで優勝していますが
チーズを転がすレースは最初のレースだけで第4レースはチーズは使わず集団で坂を駆け下りるだけです。
どのレースに出走するかは、参加希望の行列に並んだ順番によって決まります。
レースは5回行われて1回につき20名が参加します。
レースの合間には、丘を駆け上がるレースも開催されます。
このレースは子供のレースが最初で次に男性のレース、最後に女性のレースという順番で行います。
テレビで紹介されたことで日本でも一躍有名になり
旅行会社のツアーで訪れる観光客も多いです。
チーズ転がし祭りを実際に見るために海外からも多くの人が押し寄せます。
2009年には5000人が入る会場に15000人もの人が集まったため
2010年のイベントは中止になっています。
組織を強化して2011年のイベントを行う予定でしたが
参加費を徴収することに参加者が怒り大変な騒ぎとなります。
その結果、委員会側がイベントの運営を断念する事態となります。
2010年のイベントに続き、2011年のイベントも中止になると
危惧されていましたが結局管理者なしで無事に開催されます。
表面がデコボコした急な傾斜を駆け下りるため、ケガ人が出るのは毎度のことです。
足首の捻挫や骨折に加えて脳震盪を起こす人もいます。
ケガ人をケアするために、地元の聖ジョン救急機構により様々なサービスが提供されています。
丘の途中でケガした人が出た場合は
地元ボランティアの救助グループが安全な場所まで運んでくれます。
ケガをした参加者の中には病院での治療が必要になる人もいるので
救急車も会場に待機しています。ケガ人が多いために救急車がすべて出払ってしまい
病院から救急車が戻ってくるまでレースのスタート時刻が延長されたこともあります。
チーズを転がす祭りはイギリスの数ある祭りの中でも
特にユニークな祭りで、国内外の多くの人に愛されています。