ベルギーはフランドル地方の町イーペルは
人口4万人ほどの小さな町ですが
3年に1度の大きな猫祭りが開催されています。
1938年から続く歴史のある祭りで
世界的に見ても珍しさに惹かれて多くの観光客が集まります。
元々の由来はヨーロッパで流行したペストに起因しており
病魔を運ぶネズミを食べる猫は不衛生であったとか
魔女狩りによって使い魔とされる猫が
忌避されていたことから処分される謂われになったようです。
実際に1817年までイーペルでは、
猫を高所から投げ落とす行事があったことが知られており
そうした歴史をなぞって5月の第2日曜日に猫祭りが開催されるようになったのです。
あまりに痛ましい歴史となっていますが、
現在は本当に猫を処分するためではなく
ぬいぐるみを使ったりパレードを行うなど楽しいお祭りとなっています。
この猫祭りは一見してお祭り好きの人が集まるように見えますが
意外に猫好きの人が多く、日本人も集まってきます。
パレードの中で周囲を見渡せば日本人を見かけることができ
場合によっては旅先で一緒に行動することもできるので
海外旅行が不安になっている人でも安心して参加できるはずです。
猫祭りの開催は第2日曜日ですが、前日には前夜祭が行われるので
目一杯楽しみたいという人は数日前から現地に入る必要があります。
前夜祭は開催宣言とパレード、花火が打ち上げられるなど
本番ほど派手ではありませんが見所は十分です。
一部では本番のパレードに参加する人のリハーサルも行われているので
町の緊張が漂ってきて祭りの高揚感に包まれるでしょう。
祭り当日はイーペルを町中の人が
猫のぬいぐるみに着替えパレードを行い
一部の人は顔にペイントなどをしていたるところで大騒ぎです。
メインストリートでは15,000人以上の人が参加して
その後ろには巨大な山車が並びます。
見所は何と言っても最後に登場する王様シープルと
王妃ミネケ・プスの山車で、巨大な猫の姿は圧巻のひと言です。
パレードが終了すると、猫祭りのメインイベントとなる猫投げが始まり
かつて猫を落としたという繊維会館前に人々がこぞって集まります。
黒猫のぬいぐるみを道化師が鐘楼から投げ落とし
キャッチした人は幸福になると言われるそうで皆必死になって取り合いを始めます。
両手を広げるだけでなくジャンプをしたり
中には一度手にした人から奪うようなこともあるので
そういったことが苦手な人は離れて見ておくようにしましょう。
締めくくりは魔女裁判で実際に行われていた火あぶりを再現するもので
会場の中心に藁や木を積んで魔女役と司祭役が登場し
魔女を裁く寸劇が始まります。
女性の悲痛な叫びを聞いたあと
ダミーの人形が藁や木と共に焼かれ
その炎を見ながら祭りは終了となります。
パレードは15~18時、猫投げは18時頃から
魔女の火あぶりショーは19時頃と午前はなく
午後から行われるので時間の調節などは気にしなくても良いです。
ただし、祭りが終了してからホテルに
移動するまでの時間があまりないため近場で予約することになります。
猫祭りへの参加は個人でベルギーへと渡り
ホテルやチケットなども自分で準備して参加することもできますが
専用のツアーもあるので旅慣れない人はこちらを利用すると安全です。
ツアーに参加する人は当然ながら猫好きの人ばかりなので
同じ趣味を持った人同士会話も弾むことでしょう。
また、お祭りの前後は観光客が多くホテルが一杯になるため
期間中に個人で行く人は事前予約が必須となります。
イーペルまでは空港のあるブリュッセルから電車で2時間と少々遠いですが
自由な一人旅、ベルギーを観光しながら進むには最適な旅行になるでしょう。